図書館で本を借りてきました。
今年の4月に発生した熊本地震は記憶に新しいです。
この地震では多くの住宅が被害を受けました。その中には現行法規の耐震基準を満たすものも含まれていました。
本書では、グラフや図、写真を多用してわかりやすく読みやすい文章で解説してあります。
現在の住宅の耐震基準。本書では3つに分けて解説されています。
- 旧耐震基準 1981年より前
- 新耐震基準 1981年以降
- 2000年基準 2000年以降
熊本地震では2000年基準の住宅の7棟が倒壊・崩壊したとのことです。益城町で調査された2000年基準の対象建物242等の内の7棟(2.9%)でした。現在の耐震基準では大地震でも倒壊しないことを目標にすることになっています。
紹介された被害で気になったのが、造成地に建つ隣り合う2棟。
A棟(2010年完成、耐震等級2)、B棟(2007年完成、等級1)、B棟よりも1.25倍強いはずのA棟が本震で1階層崩壊した。
耐震等級以外での違いは、地盤改良。地盤改良してあったのがA棟でB棟は何もしていない。
建築年も新しく、耐震性も強く、地盤改良までしてあった方が被害が大きかった。
どうしてこうなったのか、とても気になりますが、原因まで本書では特定されていません。
耐震等級
- 耐震等級3 建築基準法1.5倍の強さ(数百年に一度程度発生する地震力の1.5倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度)
- 耐震等級2 建築基準法1.25倍の強さ(数百年に一度程度発生する地震力の1.25倍の力に対して倒壊・崩壊しない程度)
- 耐震等級1 建築基準法の強さ(数百年に一度程度発生する地震力に対して倒壊・崩壊しない程度)
被害も気になりますが、無被害だったのがどれくらいだったのかも気になります。
- 旧耐震基準 4.4%
- 新耐震基準 20.9%
- 2000年基準 55.4%
上記は、大きな地震が2度襲った益城町の無被害の割合です。
2000年基準は半数以上が無被害です。
当事務所の開設が2004年なので、今までの住宅は2000年基準で設計させてもらっています。
南海トラフ地震も懸念されています。
携わった建物が地震で被害を受けると悲しいです。改めて耐震について考えて行きたいと思います。
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